The Culture Factor

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ホフステードスコアの「意味」は「比較」にある

2014.10.12 宮森 千嘉子

みなさんこんにちは!
「異文化マネジメントと
組織文化の専門集団」
itim インターナショナルの宮森です。

ヘルシンキは10月初旬だというのに
とても寒い上に日照時間が短く
太陽の光を見ることはできませんでした。

IMG_1389

さて、前回のブログで
「ホフステードモデルの数値には意味がない」
と申し上げました。

ホフステード指数、ホフステッド指数として
知られている、国別のスコア、それ自体には
意味がないのです。

今日は、その理由を
ひもといていきたいと思います。
出来る限り、シンプルに書いていくので、
最後までお読みいただければうれしいです!

国民性や、文化的価値観を
実際に見ることはできません。
少し難しい言葉で言えば、
文化は実際に起きていることを説明する
「社会的構造」(Social Construction)
にしかすぎないのです。

ホフステードモデルの「数値」は
目に見えない文化的価値観を
「数値化」したことで画期的と言われています。

でもホフステード教授は
「モデルをつくり、数値化したことにより
世界の多くの人が、文化的価値観の違いに気づき
比較し、研究が重ねられた」
と言っています。

つまり、数値は、それぞれの国の
文化的価値観を説明する
ツールにすぎず、
他の国と比較してみないと
それ自体、何の意味も持たないのです。

つまり、日本の男性性が 95で
世界で二番目に高いからといっても、
95という数字それ自体には意味がありません。

例えば北欧諸国の男性性スコアを見ると、
スウェーデンの5、 ノルウェーの8
デンマークの16、 フィンランドの26と、
日本の95とはだいぶ差があることがわかります。

この「差」は一体何なのか?
それを比較して初めて、モデルの意味があるのです。

北欧諸国は女性性の強い国で、
お互いに相手を大切にする傾向があります。
「社会で人々がお互いを支え合う」
という 文化的価値観が、
高い税金を払っても
社会保障制度を維持しており、
それにふさわしいインフラやシステムが
構築されています。

「北欧の年金システムや
老後のケアシステムが
素晴らしいから 導入しよう」といって
日本からたくさんの人が視察にいかれるとのこと。

でも、こうしたシステムを生み出した
北欧の文化的価値観に
目を向けることなく
表面の視察やインタビューだけを行っても
それは何の意味もないし、
実際日本に取り入れることは
難しいのではないでしょうか?

と、少なくとも私には思えます(^^)。

そんなことを考えていたら、
北海道大学の宮本顕二先生の
欧米には寝たきり老人が少ないという主旨の
記事をがみつけました。

先生はそれはなぜか?
「寿命を延ばす」ことが目的ではなく、
最後まで「生活の質を大切にする」ことが
を大事にしていると書かれていますが
これはまさに「女性性」の文化的価値観です。

(男性性スコアの高い、他の欧州諸国では
どうなっているのか、興味深いので
そのうち調べてみましょう。)

北欧の文化的価値観について
ヘルシンキで気付いたことを、
次のブログでも書いていきますので、
楽しみしていてくださいね!

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宮森 千嘉子

ファウンダー

サントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人で社内外に対するコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括し、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。英国、スペインを経て、現在米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」(ファーストプレス)がある。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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